エリート御曹司とお見合い恋愛!?
 このお見合いの結果に関係なく、倉木さんとの関係ももうすぐ終わりを迎える。それどころか、もしお見合いが上手くいかなかったら、

『これは本気でも遊びでもない、俺のコンサルタントとしての腕も賭けた仕事での付き合いだろ?』

 失望、させてしまう。お見合いが上手くいくようにって、無理な私のお願いを引き受けてここまでしてくれたのに。

 そんなことになったら、ましてや倉木さんへの気持ちでお見合いを駄目にするなんて、本末転倒なのもいいところだ。彼はそんなこと望んでいない。

 両親や、倉木さんのためにも、お見合いを成功させなくては。私の倉木さんへの気持ちなんていらない。この気持ちは、誰も必要となんてしていないのだ。

『美緒』

 さりげなく倉木さんが呼んでくれた名前が耳に残っている。なんで、このタイミングで名前で呼ぶんだろうか。諦めないといけないのに。もうすぐ終わるのに。

 誰かを好きになる気持ちを教えてくれたなら、できれば諦め方も教えてほしい。それは贅沢な願いだろうか。

 倉木さんと付き合ってから、一応、連絡先を交換したものの一度も連絡を取り合ったことはない。だってプライベートには首を突っ込まない約束だから。

 彼が仕事を終えて、家でどんなふうに過ごしているのとか、誰と過ごしているのかとか私は知ることもないし、知ることさえできない。私は再び、手の中の携帯に目をやって静かに息を吐いた。
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