隣の席の瀧くん
それから、あたしをちゃんと家まで送ってくれた瀧くん。
「……では」
え…
そのままこちらを振り向かず歩いていく瀧くん。
「ま、待ってよ…」
「……」
あたしが呼びかけると、歩いていた足をピタリと止めた。
「なんで…
なんでキ、キスなんか…」
「すみません…」
俯いて、あたしとは目線を合わせない。
「あたしは何でって言ったの!!
謝って なんて言ってない!」
「……」
「何で何も言わないの…気持ちがないならあたしにキスなんてしないでよ!」
そう叫んで、勢いよく家の中に入った。