隣の席の瀧くん
「瀧くん…」
キュ と瀧くんの袖を掴む。
「どうしたの?」
「こ、怖い…です。
暗くて街灯も少ないから…ここ、掴んでてもいい?」
さらに掴む力を強める。
「じゃあこうしましょう」
瀧くんはそう言ってあたしの手に自分の手を絡ませる。
ーー恋人繋ぎ
「わっ…瀧くん…」
「離さないでね」
ニコッと微笑む。
……もう無理、心臓破壊して今度こそ一ノ瀬死にそうです。
そして、しばらく歩くとーーー、
「着きました」
「……わぁ、何ここ…」
そこからは、とってもきれいな夜景が広がっていた。
「僕の好きな場所。
昔、母さんと父さんと来たんだ。2人の思い出の場所なんだって。
だから、一ノ瀬さんにも見せたくて。……綺麗でしょう?」
「うん…すごく綺麗…あたし達が住んでる町ってこんなに小さいんだね」
夜景ってあまりちゃんと見たことなかったから、まじまじと見てしまう。
「 僕さ、地味だし…暗くて関わりにくいって周りに言われてて…なのに、一ノ瀬さんは普通に話してくれて。
感謝しているんです。
そして…好きになってくれて」
夜景を見ながら、ゆっくりと話し出す瀧くん。
「 辛くない?
周りに色々言われてるでしょ?」
そう言ってこちらを見る。
あたしも瀧くんの方を見ると、悲しそうな表情をしていた。