隣の席の瀧くん





「すみません。
…その、まだ慣れなくて。やっぱりまだ一ノ瀬さんの方が言いやすいです」



申し訳なさそうに下を向く悠人くん。


ふふっ、可愛い。





「なにニヤニヤしてるんです」


「へっ?」



急いで口元を手で覆った。




「なるほど、
僕をからかって面白がってたんですね」


「や、違うの!
あのっ、いやっ、違わないか!あーーーーー違う違う違う本当に!!」


「……」


「ご、ごめんなさぃぃ」


「ふっ、後で覚えておいて下さい」




はぁーぁ、いつもこれだ。

悠人くんにはかなわない。




ーーー”後で覚えておいて下さい”



えっ、



「はっ!なにする気!
なにする気なのよ!悠人くん!ちょっとーーっ!聞いてんの?!」



スタスタと歩き教室を出て行く悠人くん。



「バーカ」



そう口パクで言ってニヤリと笑う。


え…


ボッ と顔が赤くなる。










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