隣の席の瀧くん
そして時間はあっという間に過ぎ、お昼の時間となった。
「花、昼一緒に食べようぜ」
と壮ちゃんが誘うけど、
「ごめん、悠人くんと食べてくる」
さすがにあのままじゃ、あたしも納得いかない。
「そっか、分かった。
また俺とも食えよなー!」
「んー。考えとく!」
あははは、と笑いながら教室を出る。
いつものようにお弁当を持ちながら、図書室へ向う。
……が、
「悠人く…ん」
…またいる、あの女……
あの女とはもちろん伊藤さんの事。
「瀧くんこれ、昨日言ってた本。忘れずに持ってきたよ」
「ありがとうございます。なるべく早く返します」
「ゆっくりで大丈夫だよ」
…もう嫌だ。
最近全然2人きりになれない。
帰ろうとした時だった。
「一ノ瀬さん?」
ーーーっ、
悠人くんの声がしたけど、あたしは無視してそのまま走った。
知らないもう知らない知らない!
悠人くんなんか知らない!
伊藤さんの図書室であたしがいない間に仲良くしちゃって!
……待って。
あたし人の事言えない…よね…
あたしだって壮ちゃんと…
あたしが今思ったこの気持ち…悠人くんも同じだったのかなーー?
さっき、教室で不機嫌だったのはあたしの今の気持ちと一緒だったのかな?
嫉妬 って、こんな辛かったっけ。
「はぁ…」