隣の席の瀧くん
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*
・
「一ノ瀬さん、一緒に帰ろう」
その日の帰り、珍しく悠人くんからの誘いだった。
「うん」
図書室の事があってか、お互い少し気まずい。
鞄を持って教室を出ようとした時だったーー。
「瀧くん!」
……は?
伊藤さんが教室の端から悠人くんを呼ぶ姿があった。
放課後にもなってこいつ…
「何ですか、伊藤さん」
「うん…この後予定ある?
少しここの部分聞きたい事があって」
と、数学のテキストを取り出す。
え?テスト期間デスカ?
何です聞く必要があるの?
「あの、あたし横にいるんだけど」
我慢できなくて、言ってしまった。
「彼女横にいるのに、よく堂々と悠人くん誘えるね」
伊藤さんがおかしいんじゃん。
「ただ…勉強教えて貰おうとしてただけなの。ダメならいいの!」
そう言って顔の前でブンブン手を左右に振る。
……イラ
なにその私いい子アピール。
伊藤さんてただの真面目じゃないみたい……。
あたしが悪いみたいじゃない!