隣の席の瀧くん










「一ノ瀬さん、一緒に帰ろう」




その日の帰り、珍しく悠人くんからの誘いだった。




「うん」




図書室の事があってか、お互い少し気まずい。



鞄を持って教室を出ようとした時だったーー。




「瀧くん!」




……は?


伊藤さんが教室の端から悠人くんを呼ぶ姿があった。


放課後にもなってこいつ…




「何ですか、伊藤さん」


「うん…この後予定ある?
少しここの部分聞きたい事があって」



と、数学のテキストを取り出す。


え?テスト期間デスカ?

何です聞く必要があるの?




「あの、あたし横にいるんだけど」



我慢できなくて、言ってしまった。




「彼女横にいるのに、よく堂々と悠人くん誘えるね」




伊藤さんがおかしいんじゃん。




「ただ…勉強教えて貰おうとしてただけなの。ダメならいいの!」



そう言って顔の前でブンブン手を左右に振る。




……イラ

なにその私いい子アピール。

伊藤さんてただの真面目じゃないみたい……。
あたしが悪いみたいじゃない!






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