隣の席の瀧くん
やっぱり美味しい。
「でもあの時、悠人くんが図書室で言ってくれたおかげでもある」
「だって花が馬鹿すぎて」
「馬鹿すぎはないでしょ!馬鹿すぎって………もういい。このチョコ返す」
たくさん貰ったチョコを悠人くんに全部返してやった。
あたしの黒歴史をイジるなんて…っ。
「怒らないでください。……あの、これ…あげるので」
「え…っ」
そう前に差し出されたのはチョコレートではなく、キラキラと輝いているネックレスだった。
小さめのシンプルなネックレス。
「31日、花の誕生日」
「あ…っ」
そうだ。10月31日はあたしの誕生日。
でも、
「明日だよ?」
「…はぁ、平日の学校のある日にこんな事出来ないでしょ。」
あ、そっか…だから悠人くんは1日早く、ゆっくり過ごせる日曜日に…
「ありがとう…。本当にありがとう、悠人くん。大切にするね」
「はい」
「ねぇ、つけてよ」
「じゃあ貸して?」
あたしはつけてもらう為に悠人くんに背を向ける。
「あと髪上げて下さい」
悠人くんの声、目の前にまわってくる手。全てが近くて、息をするのを忘れてしまうくらいドキドキしたーー。