隣の席の瀧くん




やっぱり美味しい。



「でもあの時、悠人くんが図書室で言ってくれたおかげでもある」


「だって花が馬鹿すぎて」


「馬鹿すぎはないでしょ!馬鹿すぎって………もういい。このチョコ返す」




たくさん貰ったチョコを悠人くんに全部返してやった。


あたしの黒歴史をイジるなんて…っ。




「怒らないでください。……あの、これ…あげるので」


「え…っ」



そう前に差し出されたのはチョコレートではなく、キラキラと輝いているネックレスだった。



小さめのシンプルなネックレス。




「31日、花の誕生日」


「あ…っ」



そうだ。10月31日はあたしの誕生日。


でも、



「明日だよ?」


「…はぁ、平日の学校のある日にこんな事出来ないでしょ。」




あ、そっか…だから悠人くんは1日早く、ゆっくり過ごせる日曜日に…




「ありがとう…。本当にありがとう、悠人くん。大切にするね」


「はい」


「ねぇ、つけてよ」


「じゃあ貸して?」




あたしはつけてもらう為に悠人くんに背を向ける。




「あと髪上げて下さい」




悠人くんの声、目の前にまわってくる手。全てが近くて、息をするのを忘れてしまうくらいドキドキしたーー。







< 246 / 299 >

この作品をシェア

pagetop