隣の席の瀧くん




「花って瀧悠人とそんな話すっけ?」



昼休み、杏がお弁当を食べながらそんなことを言う。



「そんなってほど話してないじゃん」


「でもさ、前まで全く話してなかったじゃん。明らか避けてたし」


「ま、まぁ隣の席だからね」


「うーーん、ま、そっか。瀧くんも普通に喋るんだねー」



そんな会話をしながら、ボーッと運動場を窓から眺める。


そこには


「あ…」


坂村くんが同じクラスの男子とお弁当を外で食べているのが見えた。



「花、彼氏いんじゃん。彼女っぽくさ窓から手とか振らないでいーの?」



ニヤニヤと笑う杏。



「なによ、朝は少し付き合ってる事に反対だったくせに」


「んー、まぁね。でも付き合ってからの恋もあるのかな〜ってあたしも思ったんだよ、さっきの授業中にね」


「ハハッ、なんだそれ」




坂村くんは3人でワイワイと何やら楽しそうにしている。


少し茶色い髪が真昼の太陽に当たってすごく明るく見えた。



あたしの…彼氏。



あたしはこの人をちゃんと好きになれるのかなーーー?





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