隣の席の瀧くん


そこにはいるはずもない、悠人くんの姿だった。



「な……んで…」


「僕もよく分かりません」



あたしの右腕を強く握る。



「花がこれに出るなんて聞いてなかったし…急いで来たら何、これ? 何キスされそうになってるの」



そして、またさらに腕を掴む力を強めた。



「ねぇ、痛い……」


「……行くよ」


「へ?」




悠人くんはあたしの腕を引き、舞台から降ろす。


あまりにも、とてつもなく珍しい光景で、周りは唖然としている。




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