苦い蜂蜜



返された日記を開いて4日分の空白をとばした。
3月15日晴れ。

今日は死ぬのにはふさわしくなさ過ぎるほど晴れていて、気持ちが悪い。
仕事辞めて、同僚の人たちの仕事が増えてると思えばだいぶみんな怒っているだろう。
みんなに敵に回されることは慣れている、余計な被害妄想なんてする必要ないよ伽耶。

あと、好きな人ができた。全然その人のこと分からないんだけど。

ペンを置いて最後の2行を消そうとした。でも名前も入れてないしいいや、と思った。これからは厳重に管理して、もう無くさないようにしないとな。。

書いていると、玄関が開く音が聞こえた。

まひろだ。

そう思った時には私の足は一階へ走っていった。

ー伽耶、起きてたの?ただいま。

「おかえり、まひろ。」

ーまだ、4時だっていうのに、ババアかよ。

疲れたようにまひろはソファーに寝転がった。

ー今日は来なかったんだ。

ボソリと向こうを向いてまひろは呟いた。

なにそれ、来てもいいってことなの?
あんなに私に来て欲しくなかったような顔をしてたのに。まひろが分からないよ。

「手帳返してくれてありがとう。それが言いたかっただけ。おやすみ。」

私は再び駆け足で部屋に入った。
なんで、あんなこと言ったんだろう。
ドアの下で三角座りをして私は私をまた嫌いになった。

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