苦い蜂蜜
人には誰にも壁がある。

薄い人もいれば分厚い人もいる。

ここに住んでる俺以外のみんなは出会った時から今まで壁を作らずに接してくれた。

まるで、家族みたいに。

深夜になると出掛ける仕事も、話したくないと言ったらむやみに誰も詮索してこなかった。麻里奈と光が怒りながらも、俺が帰ってくるのを待っててくれてた。

ほんとに、いい奴らなんだよ、みんな。

どうしてそんな、俺を信じてくれるんだよ。俺は胸を張って生きることが出来ない。
胸を張って生きたいのに、そんな勇気はない。


そんな時一冊の手帳を拾った。

内容は散々だった。
この世界に生きてることが本当に嫌みたいな、そんな日記だった。それでも、その文字に込められた思いがどうしてかすごく分かって、読んだ時、初めて泣いてしまったんだ。


その人は一人ぼっちの寂しさを日記でごまかして必死で生きてた。

なぁ伽耶俺ら似た者同士なんだよ。
そんなこと言わないけれど。
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