苦い蜂蜜
それから智と仲良くなった。
悪さばっかりしてた俺の体調を心配した。
高校は智が進学校をあえて受験しないでわざわざ俺と同じ高校に通った。

ーなんで、夢諦めてんだよ!お前あの高校行くために必死に塾行って勉強してたじゃねえかよ!

河原で胸倉つかんで智にキレたら、智は同じ強さで俺の胸倉を掴み返した。

「俺の夢は医者になることだよ。別に高校ちがくたって、俺はなれるから。俺はただ、お前を1人にしたくなかったんだよ。なぁ、お前はさ俺にとって一番のダチなんだよ。」

初めて涙が溢れた。
智があったかくて、これまで耐えてきた悲しみや寂しさが、込み上げてきた。

その時俺は初めて俺の秘密を語った。

俺の過去と俺の夢を。

智はちゃんと聞いてくれた。

それが嬉しかった。こんないい奴に出会えるなんて思ってなかったから。

その時希望の光が射した。心の闇に一筋の真っ白な光が、俺を照らす。
ー生きていいんだ。
それが勇気までも持たせてくれた。

伽耶にとって俺はそんな人間になれたらいいなって思うよ。

伽耶の壁を俺がぶち壊してあげたい。
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