苦い蜂蜜
雨が強くなった。

暗い地下街を走った。
日頃見ないような怖い人がたくさんいた。

まひろの仕事場というボロボロの空き家の一室にやっぱり明かりがついていた。

「まひろ??」

ー伽耶?

その声に安心した。仲直りできる。きっと。

「まひろ、朝はごめん。私まひろの仕事手伝いたいよ、まひろのおかげで、今の私があるんだから、感謝してるの。だからその、、」

ーごめんな。別に俺、伽耶に手伝って欲しいなんて思ってないよ。こんな危ないギリギリの仕事、誰もしたくないしな笑

「違うよ。そうじゃない。私が言いたいのはそんなことじゃなくって、、」

端的に言えば、好き、なのに胸の奥につっかかって何も出てこなかった。

ー智とうまくいってるみたいじゃん。あいついい奴だから、結婚するならオススメかな笑

まひろの言葉がグサグサと胸に刺さる。
負けちゃダメだ。思っていることを言わないと、、。どうしてここまで来たんだよ、伽耶。

「あのね、まひろ、」

深呼吸をする。雨に濡れた髪の毛から雫が落ちていく。

「好きになっちゃ、だめかな?」
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