苦い蜂蜜
たしかこの居酒屋で、二次会をしたんだっけ。
家まで帰る道のりをゆっくり歩いて確認する。

ーなにしてるんですか?

若い男の人に後ろから尋ねられて、しゃがんだまま私は振り向いた。目を丸くさせて私のことをまじまじと見つめる。

「あ、ええっと、探し物をしていて、、」

ーなにを探してるの?

「手帳です。これくらいの、大きさの手帳です。昨日無くしたので、、」

ーこれ、かな?

若い男の人が鞄から取り出した手帳。それは私の無くした手帳だった。

「それです!!ありがとうございます!見つかってよかったぁ。」

貰おうとして手を伸ばしたのにその人は逆に再び鞄にしまった。

ー伽耶ちゃんだよね?

「え、あはい。」

ー手帳返して欲しかったら俺と友達になってよ。
正体不明の男と私は友達になったのだ。
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