苦い蜂蜜
川端まひろ
ー伽耶ちゃん、寒くない?

言われてみれば寒いと思ったとき、後ろからジャンパーをかけられた。

「ありがとうございます。真山さん、優しいんですね。」

ーちゃんと挨拶してなかったね。真山 智っていいます。周りからは山ちゃんとか、言われてるけど、伽耶ちゃんもそうやって呼んでくれていいよ?

「いやいや、、私は年下なので。」

ーじゃあ、山ちゃんって呼んでくれる日を楽しみにしてるよ笑

真山さんの笑う横顔が、優しくて少しまひろににてる気がした。

ーまひろとどうして出会ったの?あいつ、そんな肉食じゃないと思うけど。

「えーっと、、突然仲良くなった感じです。」

仲良くもなった覚えはないけれど、とても日記のことは言えない。

ーへぇー。珍しい。あいつ変わり者でしょ。

「ハイ。とても。」

真山さんがまた大きく笑った。その声は真っ暗な地下街に響いた。どこに辿り着くか分からないまま、私はまひろに会いに行った。
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