おとぎ




「あず、怒ってんの?」

「怒ってない。」

「やっぱ怒ってるんだ。」

「怒ってないってば。」


秀ちゃんは人差し指で私のおでこを

つん、とした。

「ちょっ何。」

「なんで怒ってんだよ。」

「怒ってなんか・・・」

「笑ってよ。」

「え?なんでよ。」

「今度はあずが俺に魔法かけて?
 ちょっと迷ってることがあってね。
 笑ってくれたら決心できる気がする。」

「迷ってることって?」

「今は言えない。」

真剣な瞳。

私は、この真っ直ぐな目にはどうも弱い。






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