おとぎ




「毎日、親父が仕事から帰ってくると
 いろいろ大変だったんだ。
 でも俺の前ではずっと笑ってて・・
 夜中によく泣いてることは知ってた。
 いっつも無理させてばっかりで・・・
 俺は母さんの・・生きる希望には
 なれなかったんだ。」


こんな事言われるなんて思わなかっから。

私は、なんて無神経なんだろう。


こういう時、どうすればいいんだっけ?

バックにカラーペンが一本入っていた。

「そんな事言わないでよ。
 手ぇ出して。」

「え?」

「いいから、手ぇだして?」


光輝は、きょとんとした顔をして

私に左手を差し出した。




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