おとぎ



光輝の人差し指に、

ニコちゃんマークを書いた。


初めてかけてくれた“魔法”だよね。


「何?これ。」

「可愛いでしょ。元気が出る魔法。」

「ぷっ。」

「お母さん、光輝の前では
 笑顔だったんでしょ?
 それは偽りじゃないと思うよ。
 もし光輝がいなかったら、
 ずっと耐えられなかったはずだよ。
 ちょっと疲れちゃっただけなんだよ。
 道を外しちゃっただけで、
 光輝の事は、きっと、大好きだったよ。」

「ありがとう。」

よかった。

笑ってくれた。




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