おとぎ




「あずちゃん聞いてないの?」

「うん。」

「もう、あの子ったら・・・。
 これでも全日本の大会なのよ?」

「全日本て・・そんな大きい大会!?」

「うん。しかも今まで一位通過。
 誰の血を受け継いだのかしらね。」

「才能ってやつだね。」


秀ちゃん、そんな大会に出てる事なんて

教えてくれなかった。

幼馴染みなんだから、友だちなんだから、

家族みたいなものなんだから・・

教えてくれたっていいのにね。


「あ!始まるわぁ~。」

「でもあんな後ろからって・・」

「心配ないわよ。」


おばさんの瞳は、秀ちゃんを

すっかり安心しきってるものだった。


結果、秀ちゃんは優勝。






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