おとぎ




「・・秀ちゃん?」

秀ちゃんは顔色ひとつ変えず、

黙って自分の足を恨めしそうに

眺めていた。


「ごめんね。来るの遅くなって。
 あのね、」

私は一人で話を始める。

秀ちゃんは耳を貸そうとしない。

酷く落胆してるんだろう。

ぴくともしない。


今の秀ちゃんは、

秀ちゃんの瞳は、

死んだ魚のような目をしている。

私はもっと違う目をしている秀ちゃんを

見たかったのに。

こんな表情の秀ちゃん、初めて見た。





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