おとぎ




「一生このままなら死んだ方がましだ!」


病室に響く秀ちゃんの声。

秀ちゃんの視線が私に向けられた。

瞬間、興奮していた秀ちゃんの表情が

一気に静まった。

無表情と言うのか、心がないと

言った方が最もなのか・・・


ゆっくりと、涙が秀ちゃんの頬を伝った。


無言になる秀ちゃん。

看護婦さんは、急いで落ちた食事を

拾い出す。

私はどうしていいかわからなくなって、

病室を飛び出した。







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