おとぎ



次の日、病室に行くと、秀ちゃんは

ダンベルを持っていた。


「何やってんの?」

「筋トレ。」

「そんなの見たらわかるよ。」


「俺、前に言ったよな?」

「え?」

「運命とは、絶対に変えられないもの。
 受け入れるしかないもの。って。」

「うん。」

「今の俺の現実だって、
 受け入れるしかないものなんだな。」

「秀ちゃん・・?」

「もう一度選手で、なんて欲張らない。
 車椅子だっていい。
 一刻でも早く起き上がれるようになって
 バイクに携わっていたい。」

「そっか。」





< 99 / 116 >

この作品をシェア

pagetop