愛か恋かきまぐれか。
「嫉妬って!
いっちゃん、やだよ。
大好きなのに!」
いっちゃんの体に
ほかの女の子の跡があるのがいやで
懸命にその跡に
私の唇を押し付けた。
上書きしなきゃ
と思って。
「ひかる、髪当たって、くすぐったい。
わかったから、待って。」
いっちゃんはわたしの髪を
いっちゃんの大きな手でまとめて
わたしの背中に流した。
そして、
「ん。
いいよ。上書きして。ひかるさん。」
と言って
目をつぶってわたしに向き直った。
わたしは夢中で
その" 跡 " を消した。