【完】君しか見えない


「再会して3日目──27日だったよね。
私が、明日も会いたいって楓くんに言ったの」



あの時、楓くんはこう答えた。



『学校、あるけど。
委員会で学校行くから、あそこで待ってれば?
あのバス停で』



その次の日から、学校があるはずなんてなかったのに。

楓くんが気を遣って、わざわざ学校があるフリをしてくれていた──。



膝の上でぎゅっと拳を握りしめる力が、自然と強まる。



「学校ないのに、私が会いたいなんて言ったから、無理させてたんだね。
ごめん、気づかなくて。
楓くんに迷惑なんて、かけたくなかったのに……っ」



毎日私たちは会っていた。



毎日5時、あのバス停で。

大晦日もお正月も。



それは、楓くんが私に合わせてくれていたから……。

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