【完】君しか見えない


黒瀬から目をそらすように、ぐっちゃぐちゃな包帯に視線を落として、ぼそっとつぶやく。



『あいつが来てたから、帰らせた』



すると黒瀬が、やれやれと首を振りながら、大袈裟なくらい大きなため息をついた。



『ほんと、三好はクッソイケメンのくせに不器用だよなぁ』



『はい? 黒瀬くん、君はなにが言いたいわけ?』



『三好が守りたいものは、ひとつだけなんだろ?
最初っから十羽ちゃんしか守ってない。
でも、その守り方が下手くそすぎるんだよ』



『……』

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