【完】君しか見えない






『もう我慢とか遠慮とかやめる。
本気で行くから』



なにかが吹っ切れたように、清々しい表情で楓くんにそう宣言されて1日。



「はい、あがりー」



「えっ、もう?」



「うん、もう」



楓くんの家で、私たちはババ抜きをしていた。



昨日の別れ際、楓くんに『暇なら俺の相手して』と誘われ、何事かと思ったら遊ぶ相手になってほしかったらしい。



「また負けた……。楓くん強すぎる!」



「おまえが弱いんじゃないの」



へッと嘲笑する楓くん。


勝者の余裕な笑みだ。

< 193 / 360 >

この作品をシェア

pagetop