【完】君しか見えない




それから楓くんは家の前の路地まで送ってくれた。



今までは言ってくれなかったのに、「また明日」を返してくれた。



再会してからの楓くんは作りものの笑顔しか浮かべていなかったのに、今日私が目にしたのは、間違いなくずっと見たかった、あの笑顔だった。



なにかが変わり、止まっていた歯車が回り出した、そんな気配がした。







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