【完】君しか見えない
L プレイボーイのジレンマ
「はー、まじで幸せすぎてやばい」
昼休み、俺はいちごミルクのストローをくわえながら、頬杖をついた。
「久々に会ったと思ったら、惚気話しかしてねぇじゃーん」
目の前に座り、フグみたいに頬を膨らませているのは、もちろん黒瀬。
新学期が始まり、久々に顔を合わせた俺は、近況──十羽と付き合い始めたことを話した。
だけど黒瀬はなぜかすべてを知っていた様子で、大して驚かなかったけど。
黒瀬は両手を伸ばし、うつ伏せになるように机に突っ伏して、不満そうな声を上げた。
「こっちは女子のみなさんから問い合わせが殺到して、対応が大変なんですけどー?」
「問い合わせ? なにそれ」
「三好が遊んでくれなくなったからって、彼女できた説流れてんの!」
「あー」
首の後ろに手を回しながら、返事を濁すように苦笑いを浮かべる。
まぁ、なんとなくこうなることはわかってた。
5時から十羽に会うために、冬休み中は遊びに誘われても悉く断ってたから。