【完】君しか見えない
L 君と秘密の時間
……綺麗な寝顔だなぁ。
閉じられてさらに強調される長い睫毛は、くるって上向きになっていて、可愛い。
陶器みたいな白くて綺麗な肌も、お人形さんみたい。
ううん、絵本から飛び出した王子様だ。
もう何度、目にしているか分からない幼なじみの顔を見つめ、私はあいも変わらず惚れ惚れする。
私は、机にうつ伏せになるようにして眠る楓くんを、机の横にしゃがみこんで見つめていた。
こうしてると、顔の高さが同じだから、至近距離で見つめることができる。
寝てるのをいいことに、柔らかいミルクティー色の髪をそっと撫でてみる。
いい夢見てるのかなぁ、そうだといいな。
と、その時。
ぱちっと目が開かれ、長い睫毛に縁取られた色素の薄い瞳が私の姿を映した。