【完】君しか見えない
楓くんが日誌を書き始めたから、私も倣うように隣の机に座った。
「ねぇ、楓くん。書くものない?
私もなにか書きたいな」
「ん? あー、これとか?」
「お、ありがとう」
楓くんからボールペンとルーズリーフを受け取る。
私は少しの間なにを書くか考え、それからそこにさらさらとペンを走らせた。
隣同士の机に座ってふたりで書き物をしていると、なんだかクラスメイトになったみたいな気がしてくる。
クラスメイトだった頃の、微炭酸みたいな記憶が胸の中で弾ける。