【完】君しか見えない
やがて書きたいことは書き尽くし、文字を書き連ねたルーズリーフを畳んでいると。
「なに書いてたんだよ」
不意に甘い声が落ちてきて顔をあげれば、いつの間にか日誌を書き終えていた楓くんが私の座る机の前に立ち、机に手をついてこちらを見下ろしていた。
「ふふー、内緒」
「超気になるんだけど」
「これは楓くんにあげる。
ただし、後で読んでね」
楓くんに畳んだルーズリーフを渡す。
今読まれるのは恥ずかしすぎるから、後で読むように念を押して。
「なに、ラブレター?」
まじまじと畳んだルーズリーフを見つめる楓くん。
「えー? かもねっ」