【完】君しか見えない
こつん、と額と額が重ねられる。
伏し目がちに微笑む楓くんがすごく綺麗で、愛おしさが心の中からこぼれて。
あぁもう、だめだ。
「……あ、楓くん!あっちにUFOが!」
「は?」
瞬時に思いついたのは、典型的すぎるでまかせだった。
それでも、手を指した方向を楓くんが見た瞬間、首を伸ばして顔を寄せる。
そして、そっと、でもたしかに楓くんの額に唇が触れた。
「え」
状況を理解できないというような楓くんの声が、宙に浮かんだ。