【完】君しか見えない


「え?でもいつもの遊びでしょ?
楓にしては、期間長いね」



「違うよ、遊びじゃない。
俺が告った。
あいつじゃなきゃ、俺がダメなんだよね」



ピシャリと、リリナちゃんの言葉を否定する。



十数年越しの片想い。


本気だから。



「だからごめんね、離してくれる?
それ、彼女のものだから」



自分の腕を視線で示しながら、できるだけ穏やかな口調でそう言っても、リリナちゃんの力は弱まらなかった。



それどこか……力、強くなってんだけど。



「やだ、信じない」



「は?」



予想外の言葉に面食らって、思わず苦笑いを浮かべたまま表情筋が固まる。



いや、信じるも信じないも、俺が付き合ってるのは事実なんだけど……。

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