【完】君しか見えない


「彼女に会わせてくれるまで信じないから」



なに言ってんだよ、こいつ……。


こういう、自分に絶対的な自信持ってる奴が一番面倒なんだよなー。



心の中で大きくため息をついて、冷ややかな視線を向ける。



「一応聞くけど、会ってどうするわけ?」



「会って納得したら、楓のこと諦めるよ。
でも、彼女いるって嘘ついてるだけかもしれないし。
この目で確認したら、楓の言うこと信じる」



「彼女になにか危害与えるつもりなら、女でも許さないけど」



「そんなことしない!
ただこの目で確かめたいだけ。
嘘つかないっていうのは、私の信条なの!
ママから教えてもらったんだから」



「はいはい」



あんたの信条とか、今は心底どーでもいいです。



面倒な状況に置かれた俺は、思わず毒づく。

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