【完】君しか見えない
放課後。
バス待合所に顔を出せば、待っていた十羽が笑顔で俺を迎えた。
「おかえり」
「ただいま」
返しながら、長椅子に座る十羽の隣に腰を下ろす。
するとなぜか下から覗き込むように、十羽が俺の表情を窺ってきた。
「楓くん、なにかあった?」
「え?」
「なんだか疲れてる顔してるなぁって。
力になれることがあったら言って?」
あー、やっぱ鋭い。
指摘されて、思い当たる心当たりはひとつしかない。
後でと思ってたけど、今話しとくか。