【完】君しか見えない
「そのことなんだけど」
「うん」
「今日、学校の女子に彼女に会わせろって言われたんだよね」
後ろ手をつきながら、ため息混じりに今日あったことを告白する。
「彼女がいるって言っても信じてくんなくて。
実際に会わせてくれたら信じるって言ってるから、悪いんだけど一緒に会ってくれねぇかな。
まじで秒で話つけるから」
嘘はつかないっていうリリナちゃんの信条は、多分ほんとだろうし。
なんて、そんなことを考えていたその時。
「……ごめん、それはできない」
予想もしてなかった返事が聞こえてきて、俺は思わず目を見開いた。
「え?」
体を起こして、隣のうつむく十羽を見つめる。
だって、軽く捉えてた。
ちょっとリリナちゃんに紹介して、納得してもらって、この問題は解決。
そんだけだって。
断られることなんて、考えてもいなかった。