【完】君しか見えない


──それから数十分後。



「さ、入ろうか」



「ふざけんな、不法侵入だから」



中学校の校門の前には、行く気満々の私と、笑顔で額に怒りマークを浮かべる楓くんが立っていた。



なんだかんだ言って、最終的にはこうして着いてきてくれた楓くん。



中学校に着いた頃にはもうすっかり暗くなっていて、校舎には灯りひとつ点いていない。



「大丈夫だよきっと。
私たち、卒業生だし」



「そーいう問題じゃねぇだろ」

< 29 / 360 >

この作品をシェア

pagetop