【完】君しか見えない
──それから数十分後。
「さ、入ろうか」
「ふざけんな、不法侵入だから」
中学校の校門の前には、行く気満々の私と、笑顔で額に怒りマークを浮かべる楓くんが立っていた。
なんだかんだ言って、最終的にはこうして着いてきてくれた楓くん。
中学校に着いた頃にはもうすっかり暗くなっていて、校舎には灯りひとつ点いていない。
「大丈夫だよきっと。
私たち、卒業生だし」
「そーいう問題じゃねぇだろ」