【完】君しか見えない


「……それ、ほんとかっ?」



信じられなくて、思わず詰め寄る。



死んでない、その言葉が一瞬で俺の心を救う。



だけど、返ってきた千隼くんの声は晴れないものだった。



「でも意識不明で入院中。
ずっと眠ってる。
だから信じられないけど、生霊ってことかな」



「え?」



少し冷静さを取り戻した心の中で、ふと矛盾が生まれる。



だとしたら、どうしてあいつはあんな嘘を言ったんだよ。



「じゃあ、倒れてそのまま死んだって言ったのは……」



「それは、十羽が嘘ついたんだよ」



「は?なんで……」

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