【完】君しか見えない


俺は顔を上げた。



千隼くんの目をしっかり正面から見すえる。



「その覚悟がなかったら、こんなとこまで来てねぇよ」



不意に目をそらすように、千隼くんがうつむいた。



そして、小さく息を吐くと。



「……ついてきて」



それだけ言って、千隼くんが走りだす。



それは紛れもなく、認可を意味していた。



千隼くんの後を追って、俺も走りだす。

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