【完】君しか見えない


それなのに、リリナちゃんに会えないと言われた時、俺はおまえにひどい態度をとった。



でもリリナちゃんに会うことを拒んだのは、そうしたくても、相手に自分の姿が見えないからだったんだよな。



どれだけ歯がゆくてつらい思いをさせたんだろう。



あの日、俺の手を掴んだ十羽の顔が頭をよぎる。



切なくて、泣きそうな顔で、必死に俺の手を掴んだ十羽。



だけど俺はいとも簡単に、その手を振り払った。



ごめんな、ほんと、なにもわかってやれてなくてごめん。

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