【完】君しか見えない
L 小さな手
「三好さぁ、最近なんかあった?」
冬休み課外最終日。
購買で買ったパンの袋をベリッと開けたところで、机を挟んで向かい側に座っていた黒瀬翼(くろせ つばさ)が、突然俺の顔を覗き込んできた。
バスケ部の部長を務める黒瀬とは中学の頃からの付き合いで、本人には絶対言わないけど、俺が気心を許してるやつ。
黒瀬は清々しいほどにまっすぐだから、俺も無駄な気を遣わずにいられて楽。
その黒瀬が、正解でも言い当てたようなしたり顔を俺に向けて、無言で返事を促してくる。
「なんだよ、急に」