【完】君しか見えない
「あの子、クールだったよな。
クールガールと校内1のイケメンが幼なじみでさ、最初はその組み合わせに驚いたなー」
遠い日を懐かしむような表情を浮かべ、腕を組んでうんうんと頷いている黒瀬。
……クール、か。
やっぱりそういうふうに見られがちなんだよな、十羽は。
どっちかっていうと、クールとは正反対の場所にいるようなやつなんだけど。
「あいつ、あれで感情表現が苦手なだけだから、全然クールなんかじゃねぇよ。
ゲラゲラ大口開けて笑うし、すっげぇ涙脆いし」
俺の言葉を聞くと、初めて知ったらしい事実に、黒瀬がこれでもかってくらい目を見開いた。
「えっ、まじで!? 衝撃の新事実なんだけど!
ギャップ萌えだわ!
くそー、もっと早くそのこと知ってれば……!」
そうそう。
黒瀬はまっすぐなやつだけど、声がうるさいのが難点。