【完】君しか見えない


「あの子、クールだったよな。
クールガールと校内1のイケメンが幼なじみでさ、最初はその組み合わせに驚いたなー」



遠い日を懐かしむような表情を浮かべ、腕を組んでうんうんと頷いている黒瀬。



……クール、か。


やっぱりそういうふうに見られがちなんだよな、十羽は。



どっちかっていうと、クールとは正反対の場所にいるようなやつなんだけど。



「あいつ、あれで感情表現が苦手なだけだから、全然クールなんかじゃねぇよ。
ゲラゲラ大口開けて笑うし、すっげぇ涙脆いし」



俺の言葉を聞くと、初めて知ったらしい事実に、黒瀬がこれでもかってくらい目を見開いた。



「えっ、まじで!? 衝撃の新事実なんだけど!
ギャップ萌えだわ!
くそー、もっと早くそのこと知ってれば……!」



そうそう。

黒瀬はまっすぐなやつだけど、声がうるさいのが難点。

< 47 / 360 >

この作品をシェア

pagetop