【完】君しか見えない
「じゃあなんで?」
「黒瀬に頼まれて、助っ人。
バスケ部、急遽人数が足りなくなったらしいんだよね」
楓くんの口から飛び出した懐かしい名前に、思わず顔が綻ぶ。
「黒瀬くん……!
わー、懐かしい……!
そっか、黒瀬くん中学でもバスケ部だったね」
同じクラスだったのは、中1の時だけだったけど、黒瀬くんのことはよく覚えてる。
だって、楓くんの親友だから。
明るく溌剌とした黒瀬くんと、優しく穏やかな楓くんは正反対だったけど、当時からすごくいいコンビだと思ってた。
そっかぁ、今も仲良いんだ。
そういう話を聞くと、なんだか私まで嬉しくなってしまう。