【完】君しか見えない
L あの日と同じ景色を
「お疲れさまです!今日も一日楓くんにとって、幸せな日であったなら、私にとっても幸せな日だったことでしょう……って、うーん?なんか違うなぁ……」
バス待合所にて、私はひとり大きめな声でシュミレーション中。
緊張しないようにと、楓くんが帰ってきた時に備えてお出迎えの練習を練習しているのだけれど、なんだかうまくいかない。
いつも、どんなふうに話しかけてたっけ……。
改めて考えてみるとなぜか思い出せなくて、すごくぎこちなくなってしまう。
こんなにも慌てているのは、昨日怒らせちゃったからちゃんと喋れるかという不安と、これから私がする提案がうまくいくかの不安が原因だ。
「楓くんお疲れさま♡私が今日の一日の疲れ癒してあ、げ、る♡♡♡ って、これもちがーう!」
「──ひとりでなに騒いでんの?
そこら中に響いてるけど」