嘘ばかりの恋
いない君
新しい学校生活
あの嘘告から3年。
彼はもうこの世にはいない。
中学生になる前の春休み。
私此佳(このか)と風間(かざま)、籠勝(ろうき)、遥(はるか)、柚葉(ゆずは)は中学校がバラバラになる前に思い出を作ろうと、春休みに遊ぶ予定を立てた。
そしてある日、彼は私たちとの待ち合わせ場所にくる直前に事故にあった。
私たちの目の前で。
信号がちょうど赤になって、私たちに気がついた風間は立ち止まり、私たちに向かって手を振っていた。
そこまではいつも通りのことだった。
風間がいつも信号で止まるのも、そこで私たちに気がつくのも全部。
なのに次の瞬間、いつもとは違うことが起こった。
車が風間に向かって突っ込んでいったのだ。
「危ない!!」
私がそう叫んだ瞬間風間の体が跳ね飛ばされた。
「風間!!」
信号が赤で車が行き来しているにもかかわらず風間の所へと飛び出そうとした私を籠勝が止めた。
「バカ!!お前も死ぬ気か!!」
「だって!!風間が!…風間が!…」
「ほら青になったから行くぞ此佳」
そう言いながら籠勝が私を引っ張って行く。
さっきは飛び出していこうとしたものの、風間の姿を見たくはなかった。
「此佳、今見なきゃきっと後悔するんじゃない?」
遥にそう言われて風間の姿を見た私は止まる。
本当に後悔するのはどっちだったんだろう。
でも、見た瞬間、風間は私に向かって笑いかけてきた。
それと同時に徐々に意識がなくなっていく彼を今でも鮮明に覚えている。