【完】もう一度、キミのとなりで。
そう言って手渡してくれる彼。
どうやら彼は、私がペンケースを忘れたのに気が付いて、わざわざ持ってきてくれたみたいだった。
「あ……うんっ、そう。私のです。
ありがとうっ」
わあぁ、ビックリ。私のだってよくわかったなぁ。
礼を言って受け取ると、矢吹くんはいつもどおり呆れたような顔をする。
「ったく、ほんとお前抜けてるよな」
「ご、ごめんなさい……」
またドジなところを見られちゃった。
彼の言うとおり、毎回こんなのばかりで恥ずかしい。
だけど、こうやって届けてくれるなんて、やっぱり彼は優しい人なんだなって思う。
「おぉ、よかったじゃん。ペンケースあって」
すると、隣にいた碧空くんが声をかけてきて。
「う、うん。よかった」
「それじゃ、俺はこれで。またなっ」