【完】もう一度、キミのとなりで。
まるで私にウエイトレスをやってほしかったみたいな発言に、どう反応していいかわからず、ドキドキしながらその場に固まる。
だけど彼はすぐにフッと意地悪く笑うと、「いや、冗談だけど」と言ったので、一瞬にして力が抜けた。
……なんだ。ビックリした。冗談かぁ。
「まぁ、お前がウエイトレスとか、なんか危なっかしいしな」
「なっ……」
「せいぜいドーナツ焦がさないようにしろよ」
なんてからかってくる矢吹くんはいつもどおりで、やっぱり意地悪かもしれない。
だけど私はさっきから、彼の頬についている絵の具がすごく気になって。
まるで泥遊びした後の子供みたいになってる。教えてあげなくちゃ……。