【完】もう一度、キミのとなりで。
でもいくら場所がわからない様子だからって、わざわざ彼の顔に触れることはなかったかな。
よく考えたら少し馴れ馴れしいことをしてしまったようにも思えて、心の中で密かに反省した。
矢吹くん、困ったのかな。ごめんなさい……。
「か、柏木さん~っ!」
するとそこに、今度は私のことを大声で呼ぶ声が。
クラスの女子が一人、慌てた様子で駆けよってくる。
「ん?なに?」
「あの、1組の碧空くんがね、柏木さんのこと呼んでる!」
「えっ?」
そう言われて振り返ると、廊下の窓の外に本当に碧空くんの姿があって。思わずドキッとしてしまった。
……ウソッ。なんだろう?
「きゃーっ、碧空くんだ!」
「やっぱかっこいいね~」
なんて、騒ぎたてる女子たちの視線が少し気になりながらも、彼の元へと歩いて行く。