【完】もう一度、キミのとなりで。

「お疲れ様でしたーっ!」


下校時間になると、みんな学祭準備を切り上げせっせと片づけを始める。


私はドーナツ屋の看板作りを無事終えて、汚れた手を洗いに水道まで走って行った。


クラスの装飾は今日でほとんど出来上がったし、準備はかなり順調だと思う。


なんだかますます本番が楽しみになってきたな。


――ジャーッ。


水道の蛇口をひねり、水を出す。


手をかざすと水が冷たくて、気持ちがよかった。


隣には、絵の具のパレットを洗う生徒が一人。その人がいなくなると、その場に自分一人になる。


加奈子ちゃんも待ってるし、このあとは急いで帰りの支度をしなくちゃ、そう思った時だった。


「……柏木さん、だよね?」


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