【完】もう一度、キミのとなりで。
二時間目の授業は体育。
そろそろ本格的な夏が近づいてくるかなという今日この頃、体育館の中は生徒たちの熱気に包まれて、いつになく暑かった。
今週から体育は体育館での授業に変わり、男子はバスケ、女子はバレーをそれぞれやることになっている。
先ほど一回目の試合を終えて暇になった私は、加奈子ちゃんに連れられて男子のバスケの試合を見学していた。
今はちょうどうちのクラスの男子チームと1組の男子チームが対戦しているんだけれど……。
「きゃーっ!矢吹くん!!」
「すっごーい!なに今のシュート!」
先ほどから女子たちの視線を一身に浴びているのは、なんと、あのクールな一匹狼の矢吹くんだった。
普段あまりみんなと絡まないし、これと言って目立った行動はしない彼だけれど、体育の時間は違う。
特にバスケットボールを持つと別人みたいで、一人だけとび抜けて上手いんだ。